2010年7月17日土曜日

江の浦コロニヘーヴ お手伝い


農園コミュニティ『江の浦コロニヘーヴ』に、農作業のお手伝いをしに伺った。
コロニヘーヴとは、2、30区画の農園が集まったデンマーク式の集合農園であり、特徴として西欧式の小屋が付いている。
小屋には調理できるスペースと石釜があった。日本の貸し農園も調理スペースがあるところがあるようだけど、コロニヘーヴは農業を通じて地域の人々が集うコミュニケーションの場のようなものに近いようだ。


東京都心から電車で約1時間40分。
東海道本線根府川駅に着くと、スタッフのYさんが迎えに来てくれていた。
作業参加者は僕以外にも数名いたので、二台のタクシーに分かれて畑に向かった。
車を降りると、海に向かって開けた斜面に木々が広がっている。
斜面を下って行ったその先に農園があるみたい。
常に海が見えるいいロケーションである。
駅からはずいぶん離れているみたいだけど、
Yさんは普段は駅とコロニヘーヴを自転車で行き来しているという。

農園へと下って行く途中には、この敷地のオーナーの経営する馬牧場があり、子供達が乗馬を楽しんでいた。
牧場の端に馬糞と藁を混合した堆肥が山のように積んであり、たまにここから堆肥を頂いて畑に蒔くのだそうだ。
畑よりも斜面の上の方にあるので、雨が続くと堆肥の成分が畑に流れてくるみたい。この地形の利は、計画的に進めたのだろうか。
馬糞堆肥の使い方はスタッフによって違っていて、人によっては土にすきこむ人もいるけれど、
Yさんは「ただ畑に置くだけ」と言っていた。
土に均一的にまくほうがよさそうなイメージがあったけれど、置くだけでけっこう効くそうだ。

Yさんは現在、神奈川県のパーマカルチャーの講座に通っているらしい。
そこで学んだ事をここコロニヘーヴで実験しているという。
パーマカルチャーについてはほとんど知らないので、どんな農園に出会えるのか楽しみである。
パーマカルチャーでは、なるべく自然の摂理をそのまま生かすという考え方があるみたいだ。
落ち葉は人の手を借りなくても放っとけば地面に積層し、腐食して自然と土に還って行く。
馬糞堆肥をそのまま置くのは、ものが積層していくという自然の摂理をそのまま模倣したものなのだ。
でも、馬糞堆肥を置いた場所だけ栄養濃度が濃くならないのかな。


コロニヘーヴの入り口から。
大きな木の木陰にちょうどよい休憩スペースがあり、イスが置いてある。
ここのデザインもとても素敵だった。こんなちょうど良い場所に、
いかにも以前から生えているような大きな木があるのが不思議だった。
休憩スペースと小屋の間には石釜があり、ピザを焼く事ができるみたいだ。
小屋はコンクリートで基礎を造り、建築専門のメンバーが設計し、地元の方々とともに造ったという。
しっかりした安定感があって快適な造りだった。
斜面から飛び出た縁側?に座ると、農園を一望できるとともに遠くの海を見渡せる。

風景がまるっきり南国の島である。
傾斜している屋上には土を敷き詰め、植物を生やしている。
定着させるまでは土がずり落ちてしまったりして結構大変だったらしい。
天窓がついていて、小屋の中に日光が差し込める。小屋の後ろは石垣を組んであり、その上に今回耕した畑がある。
段差があるので、板をわたして小屋の天井と畑を行き来できるようにしてある。

江の浦コロニヘーヴの農園には現在スタッフの方の畑しかなかったけれど、
商業ベースとは異なるパーマカルチャーを基本とした実験的で自由な畑を試みているみたいで、
畑のひとつひとつが細々と分かれていた。
よくある四角形に区切られた畑とは異なり、接縁効果を意識して曲線が多用された造り。
曲線を多様することにより畑と歩道の境目が増え、植生の多様性が維持される(パーマカルチャーの受け売り)。

以前の作業日に、みんなで造り上げたというスパイラルガーデン。
主にハーブやミントが植えられていた。
これは接縁効果を利用している。段差を利用することによってガーデン内に多くの微気象を生み出し、
いろいろな植物を維持させる(パーマカルチャーの受け売り)。
竹をつかっているので、竹の穴にも植物を植えれば、見た目にも素敵なガーデンになりそう。
螺旋なので面積対コストのパフォーマンスがよさそうだ。

今回耕す事になった畑。
まず草刈りをしたが、草の隙間からぽこぽことタマネギやミョウガが出て来た。
「この前にあの辺に植えておいたのでもしかしたら草刈りの途中にでてくるかもしれない」とYさん。

草刈りが終わったら、鍬をもって耕した。
耕すなんて見た目は簡単そうなのに、やってみると難しかった。
慣れなのでうまく鍬をふるえない。
力を込めて土をたたくというよりも、鍬の重さを利用して土を引っ掻いて行くというイメージでやると、
徐々にうまく耕す事が出来るようになった。

しかし強烈な炎天下でした。
鍬をふるっている最中、身体中から吹き出してくる汗が止まらない。

耕した後は、これまた実験的に畝の形を遊んでみる事になった。
出来上がったのがこのような畑。なぜこのような形になったかはわからない。どうみても効率優先には見えない。
蛇?と矢印?だろうか。
畝の上には刈り取った雑草をマルチとして置くと、
直射日光から地面を守ってくれるとともに、そのまま肥料にもなってくれる。

休憩時間に頂いたパッションフルーツドライケーキとハーブティー。
ケーキは、今回の作業員であり藤野でパーマカルチャーを学んでいるNさん作。
甘さがちょうど良くて美味しかった。ハーブティーも香りが濃くて、くせになりそう。
お昼にはカレーも頂きました。畑から取って来たナスやタマネギを使っています。

敷地内に流れる小川。
ここでは、畑から採れた野菜を洗うほか、今回のような炎天下の農作業後に水浴びをすることもできる。
みんな下着ではなくて水着を着て来ていた。
服を脱いでそのまま汗を流せるし、濡れた水着はこの天気だとすぐに乾いてしまう。
替えの作業着しか持って来ていないのでざぶんと飛び込むことはできなかったけれど、水路から落ちる水を頭から浴びてみる。
快適! の一言でした。

調理用の水は安全基準値をクリアした湧き水をつかっているという。
敷地内に水源があるといろいろ便利そう。というよりも、水源はこのような農園には必須なのだろう。

コンポスト。
蓋を開けてみると黒い土と野菜の切れ端が見えた。
まだきちんと機能させていないらしい。

マリーゴールド。
敷地内には花も多かった。
ハーブやミントの種をそこかしこに投げているので、
いろんなところから摘み取ることができる。

都会で暮らしていると、木々の背後に青空と飛行機雲!、とか、
海だけしか見えない!などの風景に弱くなる。
時間の流れがとてもスローだ。都会は早い。
ずっとこのような風景と時間の中で暮らしている自分を想像してみるけれど、
まだイメージが湧かなかった。

Yさんと、本日お会いした方々へ

本日はありがとうございました。
パーマカルチャー塾のことや、蛇イチゴと焼酎でつくるかゆみ止め、ホーリーバジルティーなど、面白そうなキーワードを教えて頂いたので、
いろいろと調べてみたいと思います。

江の浦コロニヘーヴ:エノコロ通信